日常を笑うファインダー/AKIPINとSACHIKO(AKIPINの妻)

2021/02/01スマートになりたい。/AKIPIN

くらしのははは Instagram

スマートになりたいと思う。
身体のことではなく普段のふるまいのこととして。”周りに流されない”的な感じのニュワンスのやつだ。
ぼくは空いた時間にスマートなフォンからの通知をすぐ見に行ってしまうし、その流れで必要のないニュースを読んでしまうし、誤字まみれのユーザーコメント欄まで読んでしまう。そして疲れる。スマートなフォンを使いながら、本当にスマートじゃないなと思う。かと言ってそれを解約するなどというのはどうせ無理で、親や妻からのLINEなどは把握していたい。
そこで、必要な通知だけが腕に届く「スマートウォッチ」なるものを検索してみた。わかってる。わかっているよ妻よ。この時点で、”新たなモノを買えば解決するかも”と思った時点で、もうだいぶスマートではないことを。結婚15年の歴史の中でぼくは何度同じ考えを持ち、何度最終的にメルカリで売ってきたことか。そのせいでぼくは妻から「メルカリ野郎!」とののしられている。ぼくはスマートウォッチのことをまだ一言も妻に話したことがないけど、もう今から妻の冷ややかな笑みが目に浮かぶ。「なにそれ買ったん、変な時計やな」。そのときは「ああ♪おもちゃオモチャ」とか無理して軽快に答えよう。
未来から目を逸らしてパソコンでスマートウォッチと検索するとめっちゃ出てくる。CMで見たシンプルでスマートなあのアップルウォッ・・チにそっくりウォッチの数々。なんだこれ。どれもものすごくアップルウォッチと似てるけどどれもアップルウォッチでない。知らないブランドのそっくりウォッチ。値段は本家の10分の1くらい。〈楽天10位!〉。アピールしてる順位も微妙で全然スマートじゃない。これらのそっくりウォッチたちと今のぼくなら、どっちがより”スマートじゃない”だろうか。さすがに、この違和感に落ち着いて気づいたぼくが圧倒的にスマートだ。ぼくは冷ややかな笑みで検索を打ち込む。何回も〈スマートをっち〉ってなった。

 
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