日常を笑うファインダー/AKIPINとSACHIKO(AKIPINの妻)
2019/11/04粕汁/SACHIKO
突然ですが、わたくし粕汁が大好きです。
みなさんは粕汁、お好きですか?
「豚汁なら作るけど粕汁はあまり作らないなぁ」とおっしゃる方、「冬の定番メニューよ!」という方など、色々いらっしゃるだろうなぁ。
大根、人参、おあげ(=油揚げ。京都の人は『おあげさん』ってさん付けしますね。)など、具材は家庭によっても色々ですね。
わが家は鰹だしに大根、人参、おあげ、をベースに、小芋、しめじ。
リッチな日には豚肉。
練り物を刻んで入れても風味がよくなるので、竹輪かゴボウ天を入れることもある。
大根や人参は短冊切り。
気分を変えていちょう切りにすることも。
そうそう、鮭を入れても美味しい。
そして、しっかり煮込んで柔らかくなった具材に、たっぷりの酒粕をよく練って入れます。
すりこぎとすり鉢でぐるぐる練ることもありますが、急ぐ時は味噌こし網でざっくりと酒粕をこすこともある。
けれど、よく練ったほうがとろとろ〜の優しい口当たりの粕汁になるのです。最高です。
そして忘れてはならないのは、粕汁をお椀によそった後、焼き網で軽く焦げ目をつけ香ばしくなったお餅をのせる。これがまた最高です。
この「お餅のせ」は、私の実家ならではの食べ方なのかもしれません。
お店やお惣菜コーナーの粕汁にお餅が入っているのは、私は今までに見たことがありません。
さて、先ほど『粕汁をよそった後にお餅をのせる』と書きました。
この順序には、実は理由(わけ)があります。
これ、母の教えです。
さてみなさん、どういう理由だと思われますか?
ふふふ。
こんな風に問うと、なんだか意味深ですね。
まあ、そんなに深い理由があるわけではないのですが。笑
いいかげん、もったいつけずお話ししますね。
もしも粕汁をよそう前のお椀に焼いたお餅を入れると、ぷくっと膨らんだお餅の柔らかな部分が、乾いたお椀の底にくっつくからです。
その上から粕汁のお汁を注いでも、底と餅の間にまでは汁気がうまく浸透してくれません。そして、粕汁を食べていっても、底の一点にはお餅がくっついて残る。
食後に食器を流し台に運んで、さあ洗おう!というときにも、くっついたお餅はお椀の底に。
お茶碗でも、ご飯粒が乾いてこびりついてしまうと、すんなり洗えないですよね。
お餅はなおさら洗いにくいです。
だから、『粕汁をよそった後にお餅をのせる』。
つまり、汁に餅を泳がせると(あら急に言葉が荒っぽいですね、失礼。)お椀へのこびりつきがなくなります。
スポンジでゴシゴシこすらなくてもいいのです。
洗い物が、スムーズです。
それだけのことです。それだけのこと。
べつに、お餅の上から粕汁を注いでもいいんです。
でも、「それだけのこと」に意識をむける。
それだけで、家事がひとつスムーズになる。
それが主婦のすごいところ、おもしろいところだなぁ、なんて思います。
べつに、上でも下でも、前でも後ろでも、まるでもさんかくでも、いいんでしょうけれど。
そんなどうでもいい積み重ねで、家事の手際や段取りは大きく変わっていくのだろうな。
と思っています。
今年の秋はいつまでも暖かい。
はやく、キン!と冷えた、冷たい空気になっておくれ。
その日が、わが家の粕汁解禁日。
(PHOTO by AKIPIN)