日常を笑うファインダー/AKIPINとSACHIKO(AKIPINの妻)

2019/09/27ほうきのこと/SACHIKO

座敷箒。ざしきほうき。
部屋で使うほうき「座敷箒」の存在が、何年も前から気になっていた。

座敷箒は昔、実家の台所にも置いてあったし、何かの雑誌で「箒でササっと掃くのが好きなんです」と、箒生活をされている方の記事を読んだこともあった。
気になっていたといってもその程度だけど、長年、心のどこかに座敷箒のことがあった。

そんな座敷箒のことを、最近またしばらく考えていた。
いま4才の娘がまだ赤ちゃんだったころは、家の床にはカーペットを敷いていたけど、最近はカーペットも外してフローリングそのままと畳の部屋だけだし、箒でもサッと履くことができるだろう。
掃除機は重たくて2階の掃除のときに持って上がったりするのが少し億劫だ。
そんなわけで、そろそろ座敷箒を購入したいなと思っていた。

そして先日。
娘を幼稚園まで送り、夫と久しぶりに二人で寺町二条までランチに出かけた。
娘を迎えに行くまでにはまだ時間もあったので、少し歩きたいね、ということで歩いていたときにふと、この近くの三条大橋のところに箒屋さんがあったんじゃないかと思い出して、私は「箒屋さんのぞきたい!」と願い出た。
(絶対にある)という確信はなかった。
(確かあったよなぁ・・?)くらいのおぼろげな記憶。
(あれは箒屋さんだったか、いやタワシ屋さんだったか?)(三条大橋じゃなくて、もしかしたら四条大橋だったか・・?)
まだまだ蒸し暑い9月初旬の京都。
汗かきながら歩いて、お店がなかったらどうしようー、付き合ってくれている夫にも悪いなぁ、と思いながら。
てくてく。

久しぶりに開けたおぼろげな記憶の引き出しは、間違えていなかった。
イメージしていた通りのお店が三条大橋西詰にあった。
そして店先には、茶色くて立派な、シュロで作られた箒がぶら下がっていた。

(ああ、これこれ!こういうのが欲しいねん!)
と、気分が上がったのもつかの間。
そのお値段にびっくり。
思っていたよりもずっと高くて、これはちょっと贅沢品やなぁと、すぐに諦めて店を離れてしまった。
動物の毛のようなモジャっとしたシュロのビジュアルも、ちょっと怖くて。笑

(※後からシュロの箒について調べていたら、最近は国産のシュロが手に入りくく、輸入のシュロで作られていることが多いとか。きっと、あのびっくりするお値段のシュロの箒は国産材料で作られているものだったのかもしれないな。)

帰宅してから、手頃な箒はないかなとインターネットで調べていたら、「ホウキモロコシ」という植物で作られた伝統的な箒を見つけた。
お値段はやはりそこそこするけれど、お店で見たものよりはまだ求めやすかったし、やっぱり職人さんが手作りした品物を大事に使ってみたいという気持ちもあったので、それを購入することに決めた。

そしてついにわが家に到着して、実際使ってみると・・・。
軽くて、置き場所もとらなくて、静かで!!
細かい角や段差のホコリもとりやすい!!

掃除機だったら、部屋の隅まで吸いに来たときにコードの長さが足りなくて、あと一歩のところでプラグからコンセントがプス!っと抜けてしまったり、階段を下から上へと掃除すると階段の中腹あたりでコンセントを2階へつなぎ直さなくてはならなかったり、吸引口の角がテーブルや椅子、家具にあたって傷をつけないよう心配りしたり、ウィーンウィーン、ガラガラガラガラ!!(掃除機を引っ張って移動させるときの音)と音がするので朝や夜は使用しないようにしたり。
そういうことを気にする必要がないのは、なんと快適なことか。

もちろん大掃除のときや来客のときなど、掃除機を使いたい場面はある。
箒にも難点はあって、集めたホコリが箒の動きで舞ってしまうとか、最後にちりとりでゴミを集めるときに完璧に取りきれなかったりもする。
普段の掃除は箒を中心にして、うまく掃除機と使い分けていけたらいいなと思う。

そういえば、子供のころ。
祖母の家の縁側の下にいつも木箱が置いてあって、おやつを食べたりしてゴミが出たとき、「そこ(木箱)へ捨てとき」とゴミ箱代わりになっていた。
「あれは、座敷を箒で掃いて、縁側へ送り出して、最後にあの箱へゴミを掃き出してたんや」と母から聞いたことがある。
そっかあ、ちりとりでゴミを集めるのが面倒なら、私も勝手口とか玄関に箱を置いて、そこへ掃き落とせばいいんやなぁ。

色んなことを思い出したり、改めて思ったりしながら、私はご機嫌に箒生活をスタートしている。

ゴミやホコリを、「吸う」じゃなく、「掃く(吐く)」っていうのも、なんかいいような。
そんな気もしている。

掃除機では難しい、こまかいところまでサッときれいにできる。

ほうきに入っている赤いラインもかわいくて気に入っている。ちりとりもセットで購入した。

(PHOTO by AKIPIN)

 
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